歩いても歩いても

最初は家族構成が似ていることもあって、なんとなく孫と自分を照らし合わせて観ていました。あ~おばあちゃん家行ったときこんな感じだなあ~とか共感しながら。おじいちゃんが「この家は私が働いたお金で建てた家なのにどうして”おばあちゃん家”なんだ」と言っていて、そういえば”おじいちゃん家”とは言わないなあと思った。不思議です。

それからだんだんと、孫目線ではなく息子目線で観るようになりました。もし自分が今よりもう少し大人になって、子供が出来たらこんな感じになるのかなあ、と。息子とお父さん(おじいちゃん)は仲が悪くて、というか照れくさいのか、お互い意地を張ってるような感じで。それもよくありがちですよね。でもなんだかんだ言って親は、自分の子供が来てくれることが嬉しいものなんだなあ。

みんなが帰る時になってバスを見送ったあと、今までツンとしてたお父さんが「次は正月かなあ」と言いました。直接は言わなかったけど、次また会えるのを楽しみにしてた。その一方でバスの中では息子が「もうこれで正月は行かなくていいだろう」と言っていて、それがとても切なかった。すれ違い。私の親も今年の正月はもう行かなくていいだろ、とかよく言うのですごく重ねてしまいました。

結局その後、二人とも亡くなってしまったのだけど、お父さんとサッカー観戦に行く約束も、車を買って乗せてもらうというお母さんの夢も、息子は果たすことができなかった。亡くなってから親孝行があまりできなかったことを後悔してもしょうがない。私はこんな思いはしたくない。今も親と離れて暮らしているけど、ちゃんと親孝行しなくちゃいけないなと思いました。つい意地を張ってしまったり、照れくさかったりするけど、「ありがとう」だけは本当にちゃんと言いたいしそういう気持ちを大切にしたい。

なんかこの映画からここまで決意してしまって重くなってしまったけど、樹木希林さんの演技があまりに自然でYOUさんとも本当の親子みたいだったし、二人の会話がリアルで面白かった。決してハッピーエンドとは言えないけど、自分と親について改めて考えさせられる映画でした。料理がきれいでおいしそうに映っている映画はやっぱり素敵だなあ。